次の発表会・コンクールで踊るバリエーションを探しています。「くるみ割り人形」にはどんなバリエーションがありますか?
こんな悩みを解決できる記事を書きました!
この記事ではバレエ「くるみ割り人形」で踊られるバリエーション&踊りを難易度とあわせて解説しています。
海外バレエ団にプロダンサーとして所属している私が解説しますね!
バリエーション選びのポイントに加えて、記事後半ではよくある質問にも答えているので、ぜひ最後までじっくり読んでくださいね!
バレエ「くるみ割り人形」とは?
バレエ「くるみ割り人形」(原題:”The Nutcracker”)は、チャイコフスキーの音楽とマリウス・プティパとリヴ・イワノフの振付によるバレエ作品で、クリスマスをテーマにした物語です。
チャイコフスキーが作曲したバレエ作品は「眠れる森の美女」「白鳥の湖」「くるみ割り人形」は”三大バレエ”と呼ばれています。
E.T.A.ホフマンの童話「くるみ割り人形とねずみの王」を基にしており、夢と現実が入り混じる幻想的なストーリーが特徴です。
- 原作:E.T.A.ホフマン著「くるみ割り人形とねずみの王様」
- 作曲:ピョートル・チャイコフスキー(1840−1893年)
- 振付:レフ・イワノフ(1834‐1901年)
- 構成:全2幕3場
- 初演:1892年12月18日(マリインスキー劇場)
あらすじ
あらすじを簡単に説明すると、「クリスマス・イブの日、くるみ割り人形をもらった主人公のクララが不思議な旅をするお話」です。
クリスマス・イブ、クララはドロッセルマイヤーおじさんからくるみ割り人形をもらいます。クララはくるみ割り人形とともに眠りにつくと、不思議な魔法がかかり、くるみ割り人形とネズミの王との冒険が始まるのでした…。
くるみ割り人形は2幕3場で構成されている作品で、以下のような場面が進んでいきます。
- 第1幕1場:クリスマス・イブの夜
- 第1幕2場:雪の国
- 第2幕:お菓子の国
詳しい作品のあらすじ・ストーリーは、「バレエ「くるみ割り人形」を簡単に解説|あらすじ・登場人物・見どころ」で解説しています。
» バレエ「くるみ割り人形」を簡単に解説|あらすじ・登場人物・見どころ
主な登場人物
バレエ「くるみ割り人形」には、以下のような登場人物がいます。
- クララ(マーシャ):主人公の少女
- 王子:お菓子の国の王子
- ドロッセルマイヤー:人形遣いのおじさん
- 金平糖の精:お菓子の国の女王
- フリッツ:クララの弟
- くるみ割り人形:変身させられた王子
- ねずみの王様:ねずみたちのボス
バリエーション選びの5つのポイント
バリエーション選びのポイントは、次の5つになります。
- 自分の得意なテクニックを活かせるか。
- 難易度は自分の年齢や経験に合っているか。
- 役(キャラクター)を演じきれそうか。
- 作品の音楽は気に入ったか。
- 自分が楽しめるバリエーションか。
「自分がその役を踊る姿をイメージできるか」がバリエーション選びには大切です。
せっかくバリエーションを選んでも先生からNGが出る場合があるので、候補は2〜3コ用意しておくのがおすすめです。
「くるみ割り人形」のバリエーション一覧
バレエ「くるみ割り人形」に登場するバリエーションは、第2幕「お菓子の国」で王子と金平糖の精のパ・ド・ドゥの中で踊られるバリエーションの2つです。
今回は「くるみ割り人形」で踊られるバリエーションに加えて、発表会でよく踊られる踊り(ディベルティスマン)も紹介します。
ひとつずつ動画付きで見ていきましょう!
くるみ割り人形(王子)のバリエーション
くるみ割り人形(王子)のバリエーションは、第2幕「お菓子の国」の場面で踊られます。
金平糖の精と踊るパ・ド・ドゥの中のひとつとして披露されます。
- 難易度:★★★★☆(4/5)
- テクニック:★★★☆☆(3/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★☆☆(3/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
- ひと言メモ:王子らしい優雅さと美しさが求められます。
バリエーション後半での連続のカブリオールは、このバリエーションでしか見られない振付です。
金平糖の精のバリエーション
金平糖の精のバリエーションは、第2幕「お菓子の国」の場面で王子のあとに踊られるバリエーションです。
- 難易度:★★★★☆(4/5)
- テクニック:★★★★☆(4/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★★☆(4/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
- ひと言メモ:ほかの女性バリエーションより長いです。
演奏にはチェレスタという鍵盤楽器が使われています。
テンポは比較的ゆっくりなバリエーションですが、繊細な動きに加えて優雅さが求められる踊りです。
スペイン(チョコレート)の踊り
スペインの踊り(チョコレートの踊り)は、第2幕「お菓子の国」の場面で披露される踊りのひとつです。
クララとくるみ割り人形の王子が「お菓子の国」に到着した後、さまざまな国のお菓子をテーマにした踊りを披露する場面の最初に踊られます。
- 難易度:★★★☆☆(3/5)
- テクニック:★★★☆☆(3/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★★☆(4/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
- ひと言メモ:情熱的でエネルギッシュな踊りです。
カスタネットの刻むリズムが、情熱的なエネルギッシュなスペインの音楽を表現しています。
曲のテンポは速く、エネルギッシュで躍動的な踊りとなっています。
アラビア(コーヒー)の踊り
アラビアの踊り(コーヒーの踊り)は、第2幕「お菓子の国」の場面で披露される踊りのひとつです。
東洋の雰囲気を漂わせる妖艶で、エキゾチックな踊りの神秘的な美しさが特徴です。
- 難易度:★★★☆☆(3/5)
- テクニック:★★★☆☆(3/5)
- 体力:★★★☆☆(3/5)
- 表現力:★★★★☆(4/5)
- 音楽:★★★★☆(4/5)
- ひと言メモ:「東洋の踊り」と呼ばれる場合もあります。
ゆったりとした優雅な動きにあわせて、身体全体を使って優雅に踊ることで、神秘的な雰囲気を表現しています。
エキゾチックなリズムと美しい旋律、そしてダンサーの優雅で滑らかな踊りによって、幻想的な東洋の世界をイメージさせる魅力的な一幕です。
中国(お茶)の踊り
中国の踊り(お茶の踊り)は、第2幕「お菓子の国」のシーンで披露される、リズミカルで活気のある踊りです。
- 難易度:★★★☆☆(3/5)
- テクニック:★★★★☆(4/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★☆☆(3/5)
- 音楽:★★★★☆(4/5)
- ひと言メモ:指を立てるポーズはお箸をイメージしたと言われています。
リズミカルで躍動感あふれる振付けが特徴で、素早いステップや華やかなターン、アクロバティックな動きが数多く披露されます。
伝統的な中国の舞踏衣装をイメージした衣装を着て、人差し指を立てたポーズが特徴的な踊りです。
ロシア(トレパック)の踊り
ロシアの踊り(トレパックの踊り)は、第2幕「お菓子の国」のシーンで披露される、エネルギッシュで力強い踊りです。
伝統的なロシアの民族衣装「サラファン」をモチーフにした衣装を身にまとい、速いステップが特徴の踊りです。
- 難易度:★★★★☆(4/5)
- テクニック:★★★☆☆(3/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★★☆(4/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
- ひと言メモ:ロシアの民族衣装「サラファン」がモチーフです。
男性の振付には鮮やかなジャンプなどの動きが多く含まれており、エネルギッシュで見応えのある踊りとなっています。
フランス(葦笛)の踊り
フランスの踊り(葦笛の踊り)は、第2幕「お菓子の国」のシーンで披露される、優雅でしなやかな踊りです。
- 難易度:★★★☆☆(3/5)
- テクニック:★★★☆☆(3/5)
- 体力:★★★☆☆(3/5)
- 表現力:★★★☆☆(3/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
- ひと言メモ:ロシア語では「羊飼いたちの踊り」と呼ばれています。
フルートを中心にした優雅で繊細なメロディが特徴で、音楽のテンポは比較的ゆっくりです。
バレエの発表会では女性2名、男性1名の小中学生3人で演じられることがよくある踊りとなっています。
バリエーションに関するよくある質問3つ
最後にバレエ「くるみ割り人形」のバリエーションに関するよくある質問について答えていきます。
質問①:どんな衣装を着て踊りますか?
バレエ「くるみ割り人形」でバリエーションを踊る金平糖の精と王子は、次のような衣装を着ています。
- 金平糖の精:白系もしくはピンク系のクラシックチュチュ
- 王子:白タイル+白系の長袖の衣装
b.c.costume.(ビーシーコスチューム)や衣装畑でレンタル衣装の取り扱いがあるので、ぜひ参考にしてみてください。
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質問②:コンクールで人気のバリエーションですか?
金平糖の精、王子のバリエーションのどちらも中高生に人気のバリエーションになっています。
どちらのバリエーションも分数が長く、コンビネーションの難易度が高いのが理由です。
バリエーションの音源が指定されているコンクールでは、金平糖の精のバリエーションの曲の長さが異なる場合もあるので、一度チェックしてみてください。
質問③:音源CDはどこで手に入りますか?
いくつかのメーカーからバレエ「くるみ割り人形」全曲のCDが発売されています。
まとめ:くるみ割り人形のバリエーションに挑戦しよう!
今回の記事では、バレエ「くるみ割り人形」に登場するバリエーション&踊りについて解説しました。
バレエ「くるみ割り人形」で登場するバリエーション&踊りは、バレエの発表会でよく踊られる作品です。
バリエーションが踊られている作品のあらすじや作品背景を知っていると、練習をするうえでに役立ちます。
どんな作品かを学んでから、バリエーションの練習に取り組みましょう!
この記事を書いた人Wrote this article
かたーる 男性
『バレエの世界をもっと身近に!』をテーマに情報発信しています。【経歴】高校→バレエ留学→コロナ強制帰国→オーディション旅→海外バレエ団(4年目)。年間100公演以上あるバレエ団でソリストをしています。