次の発表会・コンクールで踊るバリエーションを探しています。「ライモンダ」にはどんなバリエーションがありますか?
このような疑問に答える記事を書きました!
この記事では、バレエ「ライモンダ」で踊られるバリエーションを動画付きで解説しています。
海外バレエ団で働くバレエダンサーの私が解説しますね!
バリエーション選びのポイントに加えて、記事後半ではよくある質問にも答えているので、ぜひ最後までじっくり読んでくださいね!
バレエ「ライモンダ」とは
バレエ「ライモンダ」は、アレクサンドル・グラズノフの音楽に合わせて作られたクラシック・バレエ作品です。
振付はマリウス・プティパによって行われて、1898年にロシアのマリインスキー劇場で初演されました。
中世の十字軍時代を背景に、美しいヒロイン、ライモンダと、彼女を愛する騎士、ジャン・ド・ブリエンヌの純粋な愛と、それを取り巻く様々な出来事がドラマチックに描かれています。
日本では新国立劇場バレエ団が、「ライモンダ」を上演しています。
あらすじ
バレエ「ライモンダ」のストーリーをざっくりと説明すると、中世のフランスを舞台に十字軍の騎士との愛を貫く、一人の女性を描いた物語です。
作品は全3幕4場で構成されており、それぞれの場面をざっくり解説すると、次のようになります。
- 第1幕1場:ドリ伯爵夫人の館
- 第1幕2場:ライモンダの夢(夢の場)
- 第2幕:帰還の宴
- 第3幕:ライモンダとジャンの結婚式
主な登場人物
バレエ「ライモンダ」には、次のような人物たちが登場します。
- ライモンダ:物語のヒロインで美しい貴族の娘。
- ジャン・ド・ブリエンヌ:ライモンダの婚約者で勇敢な騎士。
- アブデラクマン:ハンガリーの伯爵で、ライモンダに求愛する野心的な男。
- ドリ伯爵夫人:ライモンダの名付け親で彼女を守る存在。
- アンドラーシュ2世:フランス王でジャンの主君。
主人公であるライモンダを中心に、ストーリーが展開していきます。
バリエーション選びの5つのポイント
バリエーション選びのポイントは、次の5つになります。
- 自分の得意なテクニックを活かせるか。
- 難易度は自分の年齢や経験に合っているか。
- 役(キャラクター)を演じきれそうか。
- 作品の音楽は気に入ったか。
- 自分が楽しめるバリエーションか。
「自分がその役を踊る姿をイメージできるか」がバリエーション選びには大切です。
せっかくバリエーションを選んでも先生からNGが出る場合があるので、候補を2〜3コ用意しておくのがおすすめです。
バレエ「ライモンダ」(第1幕)のバリエーション一覧
バレエ「ライモンダ」で踊られるバリエーションを各幕ごとに解説していきます。
まずは第1幕!
2つの場面がある第1幕で踊られるバリエーションは、次の通りです。
第1幕1場「ドリ伯爵夫人の館」
第1幕2場「ライモンダの夢(夢の場)」
動画付きで解説してきます!
ライモンダのバリエーション(ピチカート)
ライモンダのバリエーション(ピチカート)は、第1幕1場「ドリ伯爵夫人の館」でライモンダが登場して最初に踊るバリエーションです。
ピチカート奏法で演奏されることから、「ピチカートのバリエーション」とも呼ばれています。
- 難易度:★★★★☆(4/5)
- テクニック:★★★★☆(4/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★★☆(4/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
跳躍系や回転系のテクニックよりも、音楽に合わせた細かい足さばきが求められるバリエーションです。
ライモンダのバリエーション(ベール)
ライモンダのバリエーション(ベール)は、第1幕1場でライモンダが踊る2つ目のバリエーションです。
白いベールを持って踊ることから「ベールのバリエーション」とも呼ばれます。
- 難易度:★★★☆☆(3/5)
- テクニック:★★★★☆(4/5)
- 体力:★★★☆☆(3/5)
- 表現力:★★★★☆(4/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
ベールはジャン・ド・ブリエンヌからの贈り物です!
ジャンの帰りを心待ちにしながら、ベールを通じてジャンと一緒に踊っているかのような表現が求められます。
夢の場よりヘンリエットのバリエーション
ヘンリエットのバリエーションは、第1幕2場「ライモンダの夢(夢の場)」で踊られるバリエーションです。
ヘンリエットはライモンダの友人です!
- 難易度:★★★☆☆(3/5)
- テクニック:★★★☆☆(3/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★★☆(4/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
ポジションの正確さや柔らかい上体の動きが大切で、「まるで夢を見ているかのような」ふわっとした優雅な踊りが必要です。
夢の場よりクレメンスのバリエーション
クレメンスのバリエーションは、第1幕2場「ライモンダの夢(夢の場)」で踊られるバリエーションです。
クレメンスもライモンダの友人です!
- 難易度:★★★☆☆(3/5)
- テクニック:★★★☆☆(3/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★★☆(4/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
カブリオールやアッサンブレ・アン・トゥールナンといった跳躍系のコンビネーションが、多く組み込まれています。
夢の場よりライモンダのバリエーション
第1幕2場で踊られるライモンダのバリエーションは、夢の中でライモンダが婚約者ジャンと再会する場面で披露されます。
- 難易度:★★★★☆(4/5)
- テクニック:★★★★☆(4/5)
- 体力:★★★☆☆(3/5)
- 表現力:★★★★☆(4/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
バリエーション冒頭では、アラベスクからアテールに降りて、そこからデベロッペするといった難易度の高いコンビネーションが続きます。
夢の中でジャンとの再会できたライモンダの喜びの感情を表現することが重要です。
バレエ「ライモンダ」(第2幕)のバリエーション一覧
バレエ「ライモンダ」の第2幕「帰還の宴」で踊られるバリエーションは、次の通りです。
全部で3つあります!
- 第1幕1場:ドリ伯爵夫人の館
- 第1幕2場:ライモンダの夢(夢の場)
- 第2幕:帰還の宴 ←ココの場面!
- 第3幕:ライモンダとジャンの結婚式
ヘンリエットのバリエーション
第2幕で最初に披露されるのが、ヘンリエットのバリエーションです。
- 難易度:★★★☆☆(3/5)
- テクニック:★★★★☆(4/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★☆☆(3/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
速い曲のテンポの中で、グラン・ジュッテやグラン・パ・ドゥ・シャを軽快に跳ぶことや細かな足さばきが求められます。
クレメンスのバリエーション
クレメンスのバリエーションは、第2幕「帰還の宴」で踊られるバリエーションです。
- 難易度:★★★☆☆(3/5)
- テクニック:★★★★☆(4/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★☆☆(3/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
90度以上に脚を上げた状態からのフェッテが多くあるのが特徴的なバリエーションです。
優雅で滑らかな動きの中に、ポジションの正確さが求めれます。
ライモンダのバリエーション(帰還の宴)
ライモンダのバリエーションは、第2幕「帰還の宴」で披露される4つ目のバリエーションです。
帰還の宴のバリエーションと呼ばれることもあります!
- 難易度:★★★★☆(4/5)
- テクニック:★★★★☆(4/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★★☆(4/5)
- 音楽:★★★★☆(4/5)
ピルエットなどの回転系の動きあとに、そのままコンビネーションが続いていく難易度の高いバリエーションです。
バリエーションの後半では、ポワントの状態でシャンジュマンをして移動する動きがあります。
バレエ「ライモンダ」(第3幕)のバリエーション一覧
バレエ「ライモンダ」の第3幕「ライモンダとジャンの結婚式」で踊られるバリエーションは、次の3つになります。
ジャン・ド・ブリエンヌが登場します!
- 第1幕1場:ドリ伯爵夫人の館
- 第1幕2場:ライモンダの夢(夢の場)
- 第2幕:帰還の宴
- 第3幕:ライモンダとジャンの結婚式 ←ココの場面!
ヘンリエットのバリエーション
ヘンリエットのバリエーションは、第3幕「ライモンダとジャンの結婚式」で踊られるヘンリエットの3つ目のバリエーションです。
- 難易度:★★★☆☆(3/5)
- テクニック:★★★★☆(4/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★☆☆(3/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
頭の付け方が特徴的なバリエーションとなっています。
ライモンダのバリエーション(ハンガリアン)
ライモンダのバリエーションの5つ目が、第3幕「ライモンダとジャンの結婚式」で踊られるバリエーションです。
手打ちのバリエーションとも呼ばれます!
- 難易度:★★★★★(5/5)
- テクニック:★★★★☆(4/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★★★(5/5)
- 音楽:★★★★☆(4/5)
キャラクターダンス(民族舞踊)でよく見られる特徴的な手の打ち方が、このバリエーションには出てきます。
ピアノが奏でる主旋律に合わせて、パ・ド・ブレで舞台全体を優雅に駆け巡ります。
ジャン・ド・ブリエンヌのバリエーション
第3幕でジャン・ド・ブリエンヌが踊るバリエーションは、作品内で唯一ジャンが踊るバリエーションです。
- 難易度:★★★★☆(4/5)
- テクニック:★★★★☆(4/5)
- 体力:★★★★☆(4/5)
- 表現力:★★★☆☆(3/5)
- 音楽:★★★☆☆(3/5)
高度なテクニックに加えて、曲の長さがほかのバリエーションより長いためスタミナが求められます。
ジャン・ド・ブリエンヌは中世の騎士としての気品と勇敢さを兼ね備えたキャラクターであり、踊りを通じて彼の高貴さや力強さ、そして優雅さを表現する必要があります。
「ライモンダ」のバリエーションに関するよくある質問3つ
最後に「ラ・バヤデール」のバリエーションに関するよくある質問に答えていきます。
- 質問①:コンクールで人気のバリエーションは?
- 質問②:どんな衣装を着て踊りますか?
- 質問③:音源CDはどこで手に入りますか?
ひとつずつ見ていきましょう!
質問①:コンクールで人気のバリエーションは?
コンクールでよく踊られているバレエ「ライモンダ」のバリエーションは、次の2つになります。
夢の場のバリエーションは、ローザンヌで菅井円加さんが踊っていました!
夢の場のバリエーションは高校生・シニア、第1幕のバリエーション(ピチカート)は中学生が踊っているイメージが強いです。
質問②:どんな衣装を着て踊りますか?
コンクールで人気の2つのバリエーションで着られる衣装は、次の場合が多いです。
- ライモンダ(ピチカート):白もしくはピンク系のクラシック・チュチュ
- ライモンダ(夢の場):白系のクラシック・チュチュ
b.c.costume.(ビーシーコスチューム)や衣装畑などでレンタル衣装の取り扱いがあります。
「レンタル衣装を探している」や「衣装のイメージをつかみたい」という方は、ぜひチェックしてみてください!
質問③:音源CDはどこで手に入りますか?
いくつかのメーカーからバレエ「ライモンダ」全曲が収録されたCDが販売されています。
こちらCDには、第1幕2場「夢の場」のバリエーションの曲が収録されています。
「Amazon」や「楽天市場」などにも取り扱いがあるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
まとめ:「ライモンダ」のバリエーションを踊ろう!
今回の記事では、バレエ「ライモンダ」のバリエーションを解説しました!
- ライモンダのバリエーション(ピチカート)
- ライモンダのバリエーション(ベール)
- 夢の場よりヘンリエットのバリエーション
- 夢の場よりクレメンスのバリエーション
- 夢の場よりライモンダのバリエーション
- ヘンリエットのバリエーション
- クレメンスのバリエーション
- ライモンダのバリエーション(帰還の宴)
- ヘンリエットのバリエーション
- ライモンダのバリエーション(ハンガリアン)
- ジャン・ド・ブリエンヌのバリエーション
ライモンダのバリエーションは難易度が高く、高校生・シニア向けのバリエーションとなっています。
この記事で解説したバリエーション選びのポイントを参考にして、自分にピッタリのバリエーションを選びましょう!
バリエーションの練習を始める前に、作品のあらすじや作品背景を学んでおくと練習に役立ちますよ。