- バリエーション
- 2024/10/26
バレエ「コッペリア」について何となく知っているけど、作品について詳しく知りたいな・・・。
と考えていませんか?
そんなバレエをもっと知りたい方に向けて、バレエ「コッペリア」について詳しくなれる記事を書きました!
- バレエ「コッペリア」のあらすじ・登場人物について知りたい方
- 発表会・コンクールで「コッペリア」の作品を踊る方
- 作品の背景を学んで、踊りに取り入れたい方
この記事では、バレエ「コッペリア」の登場人物・あらすじ・見どころを紹介していきます。
ロシアのバレエ学校に留学中、バレエ史を学んでいた私がこの記事を書いています。
「コッペリア」のマメ知識などに加えて、後半では作品の練習の参考になる動画も合わせて紹介してるので、ぜひ最後まで読んでくださいね!
バレエ「コッペリア」とは
「コッペリア」は、ポーランドの農村を舞台にスワニルダとフランツの恋の行方を、そして人形のコッペリアを中心にした作品です。
- 原作:E.T.A.ホフマン著「砂男」
- 作曲:レオ・ドリーブ(1836−1891年)
- 振付:アルテュール・サン=レオン(1821−1870年)
- 構成:全3幕
- 初演:1870年5月25日(パリ・オペラ座)
- 上演時間:110分
原作はE.T.A.ホフマン著者の「砂男」
「コッペリア」の原作は、ドイツの小説家E.T.A.ホフマンの書いた物語「砂男」です。
バレエ「くるみ割り人形」の原作である「くるみ割り人形とねずみの王様」を書いた人物でもあります。
原作は怖いストーリーですが、バレエ「コッペリア」では明るく楽しい作品として制作されました。
フランスの作曲家:レオ・ドリーブの音楽
音楽は、フランスの作曲家レオ・ドリーブによって作曲されました。
「フランス・バレエ音楽の父」と呼ばれいる人物で、のちにバレエ「シルヴィア」や「泉」の音楽も作曲した人物です。
フランスの振付家:アルテュール・サン=レオンの振付
「コッペリア」の振付は、フランスの振付家アルテュール・サン=レオンです。
マリインスキー・バレエ団(当時はロシア帝室バレエ)のバレエマスターを退任した直後、「コッペリア」の振付にたずさわりました。
「コッペリア」の振付は、サン=レオンの代表作となっています。
「コッペリア」様々な人物によって改訂されており、マリウス・プティパ版やピーター・ライト版などといった演出・振付の異なるバージョンが多くあります。
最後のロマンティック・バレエ作品
「コッペリア」は、最後のロマンティック・バレエ作品と言われています。
ロマンティック・バレエとは…
18世紀〜19世紀にかけてヨーロッパで流行したロマン主義に影響を受けて生み出されたバレエのこと。
ロマンティック・チュチュと呼ばれる薄い生地がいくつも重なったつりがね型スカートの衣装が特徴。
例)「ジゼル」「ラ・シルフィード」
もちろんコッペリアに登場する人物たちも、ロマンティック・チュチュを着ています。
バレエ「コッペリア」の登場人物
「コッペリア」には、以下のようなキャラクターたちが登場します。
主な登場人物
- スワニルダ:明るく元気な村娘
- フランツ:村の青年
- コッペリウス:カラクリ人形職人
- コッペリア:コッペリウスが作り上げた少女の人形
スワニルダとフランツを中心にして、お話が進んでいきます。
その他の登場人物
ほかにも、以下のようなキャラクターたちも登場します。
- 村長
- 宿屋の主人
- スワニルダの友人たち
- 村人たち
- カラクリ人形たち(中国、スペイン、スコットランド、騎士、フランス、道化)
「コッペリア」は全3幕の作品ですが、「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」などと比べると登場人物は少ないです。
ですが、民族舞踊(キャラクターダンス)や「時の踊り」といった多くの踊りが登場します。
見ごたえはバッチリです!
» 【保存版】バレエ「コッペリア」で踊られるバリエーション一覧|動画付き
バレエ「コッペリア」のあらすじ
ストーリーを簡単に説明すると、『スワニルダとフランツの恋物語』となっています。
第1幕:ポーランドの農村
舞台はポーランドにある農村。
村娘のスワニルダと青年フランツは恋人同士です。
スワニルダの向かいの家には、コッペリウスという気難しい人形職人の屋敷があります。
彼の家のベランダからは、とても可愛い少女コッペリアが本を読んでいる姿が見えていました。
ですが、いつも挨拶をしても無視されてしまいます。
そんなコッペリアが気になるフランツに嫉妬し、2人は喧嘩をしてしまうのでした。
ある日の夕方、コッペリウスが屋敷のカギを落としてしまいます。
落としたカギを拾ったスワニルダと友人たちは、コッペリアがどんな人なのか確かめるため屋敷に忍び込みます。
時を同じくして、コッペリアが気になっていたフランツも2階からハシゴで忍び込むのでした。
第2幕:コッペリウスのカラクリ人形屋敷
コッペリウスの屋敷に忍び込んだスワニルダと友人たち。
屋敷の中には、たくさんのカラクリ人形たちがいました。
屋敷の中を隅々まで探したスワニルダたちは、ついに屋敷の奥にいたコッペリアを見つけます。
ですが挨拶をしても返事がありません。
不思議に思いコッペリアをよく見てみると、なんと彼女は人形だったのです。
コッペリアが人形だと分かり安心したスワニルダたちは、カラクリ人形たちのゼンマイを巻き、彼らのマネをして踊ります。
するとそこにコッペリウスが戻ってきます。
気づいた友人たちは上手く逃げるが、スワニルダだけは逃げそびれてしまう。
コッペリウスはスワニルダになぜ家に忍び込んだのか尋ねます。
「わたしの恋人がコッペリア人形に恋をしているの」と悲しげに答えました。
それを聞いたコッペリウスはスワニルダにある計画を耳打ちします。
計画に賛成したスワニルダは屋敷の奥に隠れるのでした。
屋敷に忍び込むフランツ
窓からハシゴでコッペリウスの屋敷に、何も知らないまま忍び込むフランツ。
当然、フランツは見つかりコッペリウスに怒られます。
フランツが持っている花束に気づいたコッペリウスは、なぜ屋敷に忍び込んだのかを尋ねます。
「いつも窓辺にいる女の子に恋をしたんだ」と答えました。
するとコッペリウスはフランツをイスに座らせて、これでもかとワインを飲ませます。
お酒に酔ったフランツはそのまま眠ってしまいました。
コッペリア人形に変装したスワニルダ
部屋の奥からコッペリアに変装したスワニルダが姿を現します。
コッペリウスの考えた計画とは「コッペリアに変装してフランツを驚かすこと」でした。
フランツが目を覚ますと、自分の目の前に思いを寄せていたコッペリアがいます。
ただコッペリアが人形であると知ると、途端に彼女への興味がなくなり帰ろうとします。
コッペリウスは帰ろうとするフランツを引き止めると、コッペリア人形(スワニルダ)に魔法をかけます。
するとコッペリア人形は、まるで命が吹き込まれたように踊りはじめました。
コッペリアの踊る姿に心を奪われたフランツは、彼女との結婚を申し込ます。
それに怒ったスワニルダが、コッペリアの正体が自分だと明かします。
フランツがコッペリアだと思っていたのは、実は変装したスワニルダでした。
最初、スワニルダはフランツの謝罪を受け入れませんでしたが、コッペリウスの仲裁によって仲直りするのでした。
第3幕:スワニルダとフランツの結婚式
村では新しい鐘が設置されたことをお祝いし、盛大なお祭りが行われます。
鐘にちなんだ踊りが「時の踊り」、「曙(あけぼの)の踊り」、「祈りの踊り」、「仕事の踊り」、「結婚の踊り」、「戦いの踊り」と披露されていきます。
最後にスワニルダとフランツが「平和の踊り(パ・ド・ドゥ)」を披露し、2人はめでたく結ばれるのでした。
バレエ「コッペリア」全幕の見どころ
「コッペリア」の見どころは、以下の3つです。
- 作中のコミカルな演出
- 個性豊かなカラクリ人形たち
- 村人たちの民族舞踊(キャラクターダンス)
作中のコミカルな演出
「コッペリア」の見どころの一つは「コミカルな演出」です。
なぜなら、他の作品にはないような笑ってしまう演出が多くあるからです。
例えば、コッペリウスの屋敷でコッペリアに変装したスワニルダがフランツを平手打ちする場面ですね。
版によっても演出方法が変わるので、どのような演出がされているか一度注目してみてください。
個性豊かなカラクリ人形たち
第2幕に登場するコッペリウスが作ったカラクリ人形たちの踊りも見どころですね。
中国、スペイン、スコットランド、騎士、フランス、道化といった個性豊かな人形が民族舞踊をモチーフにそれぞれ踊っています。
いかに人形であることを忘れずに踊るかは、ダンサーの腕の見せどころです。
屋敷に忍びこんだスワニルダや友人たちがカラクリ人形たちの民族舞踊をマネして踊る姿も見ていて楽しくなるシーンの一つです。
民族舞踊(キャラクターダンス)の数々
「コッペリア」に登場する民族舞踊(キャラクターダンス)も見どころです。
作品には、マズルカやチャルダッシュといった民族舞踊が登場します。
- マズルカ:ポーランドの民族舞踊
- チャルダッシュ:ハンガリーの民族舞踊
「白鳥の湖」といった作品にも民族舞踊は登場しますが、村人たちの踊る民族舞踊が見れる作品は少ないです。
とういうわけで一度、村人たちの踊る民族舞踊にも注目してみてくださいね‼
バレエ「コッペリア」全幕の動画・DVD
「コッペリア」の全幕が観れるYouTube動画やDVDをいくつか紹介します。
YouTubeで観れる「コッペリア」全幕の動画
ロシア国立ノボシビルスク・オペラ・バレエ劇場
ロシア国立ノボシビルスク・バレエ団の「コッペリア」です。
舞台美術にプロジェクターによる映像技術が使われており、とても美しい舞台装置となっています。
「結婚の踊り」には、大川航矢さんや寺田翠さんといった日本人ダンサーも出演しています。
ボリショイ・バレエ・アカデミー
ボリショイ・バレエ学校による「コッペリア」の映像です。
1987年と古い映像ですが、学生が踊っているため振付や演技が分かりやすいです。
どのような振付か確認するにはオススメの動画になっています。
DVDで観る「コッペリア」全幕
様々な版の「コッペリア」が上演されていますが、DVDとして発売されている数は多くありません。
最近、登場した全幕DVDを2つ紹介します。
英国ロイヤル・バレエ(2019年)
英国ロイヤル・バレエ団のチェケッティ版「コッペリア」です。
特典として、リハーサル風景やインタビュー映像なども収録されてます。
- スワニルダ:マリアネラ・ヌニェス
- フランツ:ワディム・ムンタギロフ
- コッペリウス:ギャリー・エイヴィス
ボリショイ・バレエ(2018年)
2018年にボリショイ劇場で収録されたプティパ版「コッペリア」です。
マルガリータ・シュライネルとアルチョム・オフチャレンコが主演です。
- スワニルダ:マルガリータ・シュライネル
- フランツ:アルチョム・オフチャレンコ
- コッペリウス:アレクセイ・ロパレーヴィチ
まとめ
この記事では、「コッペリア」全幕のあらすじや登場人物、見どころについて紹介しました。
「コッペリア」のあらすじや登場人物がわかり、前より作品について詳しくなれたのではないでしょうか?
作品について詳しく知っていると、踊るときの表現の助けになります。
この記事が「コッペリア」の作品を練習するときの手助けになると嬉しいです。
↑バレエ作品について「もっと知りたい!」という方にはこちらの本がオススメです!
この記事を書いた人Wrote this article
かたーる 男性
『バレエの世界をもっと身近に!』をテーマに情報発信しています。【経歴】高校→バレエ留学→コロナ強制帰国→オーディション旅→海外バレエ団(4年目)。年間100公演以上あるバレエ団でソリストをしています。