- バレエ作品
- 2024/02/26
バレエ「ジゼル」について何となく知っているけど、作品について詳しく知りたいな・・・。
と考えていませんか?
そんなバレエをもっと知りたい方に向けて、バレエ「ジゼル」について詳しくなれる記事を書きました!
- バレエ「ジゼル」のあらすじ・登場人物について知りたい方
- 発表会・コンクールで「ジゼル」の作品を踊る方
- 作品の背景を学んで、踊りに取り入れたい方
この記事では、バレエ「ジゼル」の登場人物・あらすじ・見どころを紹介していきます。
ロシアのバレエ学校に留学中、バレエ史を学んでいた私がこの記事を書いています。
「ジゼル」のマメ知識などに加えて、後半では作品の練習の参考になる動画も合わせて紹介してるので、ぜひ最後まで読んでくださいね!
バレエ「ジゼル」とは
バレエ「ジゼル」は、『結婚式をあげる前に亡くなった花嫁たちが精霊(ウィリ)となり、森に迷い込んだ男性を死ぬまで踊り狂わす』というオーストリア地方の伝説をもとに作られた作品です。
- 原作:オーストリア地方の伝説
- 作曲:アドルフ・アダン(1803−1856年)
- 振付:ジャン・コラーリ(1779−1854年)、ジュール・ペロー(1810−1892年)
- 構成:全2幕
- 初演:1841年(パリ・オペラ座)
- 上演時間:120分
フランスの振付家ジャン・コラーリとジュール・ペローによって振付されました。
音楽はフランスの作曲家アドルフ・アダンによる作曲です。
のちに「海賊」の作曲も手がける人物です。
また第1幕に登場する村娘のパ・ド・ドゥなどの部分は、ドイツの作曲家ヨハン・ブルグミュラーによって作曲された曲が初演時から使われています。
初演は1841年6月28日、パリ・オペラ座にて行われました。
初演時は「ジゼル、またはウィリたち」(Giselle, ou Les Wilis )という作品名で上演され、「ラ・シルフィード」と「コッペパン」などと並ぶロマンチック・バレエの代表作の一つとされています。
バレエ「ジゼル」の登場人物
バレエ「ジゼル」の作品に登場するキャラクターを紹介していきます。
主な登場人物
- ジゼル:体は弱いが踊りが大好きな村娘
- アルブレヒト伯爵:「ロイス」という名前で身分を隠しジゼルに近づく貴族
- クーランド大公:バチルダの父親
- バチルダ:アルブレヒトの婚約者
- ヒラリオン:ジゼルに思いを寄せている森番の青年
- ベルタ:ジゼルの母親
- ミルタ:ウィリの女王
版によって、ヒラリオンは「ハンス」と呼ばれる場合もあります。
その他の登場人物たち
バレエ「ジゼル」には、他にも以下のようなキャラクターたちも登場します。
- ウィルフリード:アルブレヒトの従者
- ジゼルの友人(パ・ド・シス)
- 貴族たち
- 村人たち
- ウィリたち
ウィリとは、結婚式をあげる前に亡くなった花嫁がなる精霊のことです。
森に迷い込んできた男性や裏切った人間をを死ぬまで踊り狂わされる幽霊のような存在です。
配役ごとの出演か所まとめ
それぞれの登場人物の出演する場所をシーンごとに表にまとめました。
役名 | 第1幕 | 第2幕 |
---|---|---|
ジゼル | ◯ | ◯ |
アルブレヒト伯爵 | ◯ | ◯ |
クーランド大公 | ◯ | |
バチルダ | ◯ | |
ヒラリオン | ◯ | ◯ |
ベルタ | ◯ | |
ミルタ | ◯ | |
ウィルフリード | ◯ | |
ジゼルの友人 | ◯ | |
貴族たち | ◯ | |
村人たち | ◯ | |
ウィリたち | ◯ |
バレエ「ジゼル」のあらすじ
バレエ「ジゼル」は、ドイツのテューリンゲンという地域にある村が舞台の作品です。
ストーリーを簡単に説明すると『ジゼルとアルブレヒトの恋を描いた作品』となっています。
第1幕: ジゼルの暮らすとある村
ぶどうの収穫の時期を迎えた村。
そこにジゼルという体が弱いが踊るのが大好きな村娘が母親と暮らしていました。
ジゼルは近くに住むロイスという青年と結婚の約束をするほど愛しています。
そんなロイスですが、実はアルブレヒトという名前の伯爵(貴族)ですが、ジゼルには身分を隠していました。
ジゼルに片思いをしていた森番の青年ヒラリオンは2人の恋仲に嫉妬し、日頃からロイス(アルブレヒト伯爵)の立ち振る舞いに何か違和感を感じていました。
そしてロイス(アルブレヒト伯爵)の小屋にこっそりと忍び込み、隠されていた剣と刻まれた紋章を見つけて彼が村の人間ではないと確信するのでした。
ある日、クールランド公爵が娘のバチルダたちと共に狩りへやってきました。
狩りの途中、ジゼルが暮らす村に立ち寄ります。
「疲れたので休ませてほしい」と頼まれたジゼルらはクールランド公爵たちを家の中で休ませることにしました。
そしてジゼルとバチルダはお互いに婚約者がいることを知り、仲良くなるのでした。
一方、村ではヒラリオンによってロイスの正体がアルブレヒト伯爵であると暴かれてしまいます。
ジゼルが動揺し混乱する中、アルブレヒト伯爵の前に婚約者バチルダも現れます。
自身の正体を隠しきれなくなったアルブレヒトは、ジゼルがいる目の前でバチルダの手にキスをするのでした。
自分の婚約者であるはずのロベル(アルブレヒト伯爵)がバチルダにキスをする状況にさらに混乱したジゼルは気が狂い、剣を振りまわして自分の命を絶とうとします。
ヒラリオンたちに止められて剣は手放しますが、もともと体の弱かったジゼルは母ベルタの胸の中で死んでしまうのであった。
第2幕:ジゼルが眠る夜の墓場
ジゼルの墓がある森の沼のほとり。
結婚式をあげる前に死んだ花嫁たちが精霊(ウィリ)となり集まる場所でもありました。
ウィリたちは迷い込んできた人間や裏切った男を死ぬまで踊り狂わせるのでした。
ウィリの女王ミルタによって、ジゼルもウィリたちの仲間に加わります。
夜になって、ヒラリオンがアルブレヒトの正体を暴いた後悔を胸に墓の前までやってきます。
墓の前で許しを願う中、ウィリたちの気配に気づき怯えてどこかへ隠れます。
ヒラリオンはウィリたちに見つかり、踊りつづけさせます。
最後には死の沼に突き落とされ、ウィリたちにとどめを刺されました。
ウィリたちがヒラリオンを追いかける間、アルブレヒトとウィリとなったジゼルが再会するのでした。
ヒラリオンを手にかけたウィリたちは、同じようにアルブレヒトも狙います。
ジゼルはミルタに「アルブレヒトだけは見逃してくれ」と必死に命乞いをしますが、ミルタは容赦がありませんでした。
ウィリたちによってアルブレヒトは踊り狂わされ、ついに起き上がることができなくなります。
もうダメだと思ったその時、朝をつげる鐘が鳴り響きます。
ミルタやほかのウィリたちのちからは弱まり、自分たちの墓へ戻っていきます。
ジゼルもアルブレヒトに永遠の別れを告げ、残されたアルブレヒトはひとり墓の前にたたずむのでした。
バレエ「ジゼル」の見どころ
バレエ「ジゼル」の見どころは、以下の3つです。
- 主人公ジゼルの「人間の姿」と「ウィリ(精霊)の姿」が見れる
- ウィリたちの一糸乱れぬ踊り
- 踊り狂わされるアルブレヒト・ヒラリオン
主人公ジゼルの「人間の姿」と「ウィリ(精霊)の姿」が見れる
バレエ「ジゼル」の見どころの1つ目は、主人公ジゼルの「人間のときの姿」と「ウィリ(精霊)となった姿」の2つを見ることができる点です。
「ジゼル」はバレエ作品の中で唯一、主人公が死んだあとも踊り続ける作品となっています。
第1幕ではジゼルのVa(バリエーション)では軽やかな踊り、第2幕のアルブレヒトとのパ・ド・ドゥではウィリ(精霊)となったジゼルのふわっと舞うような踊りといった変化を見ることができます。
第1幕と第2幕でジゼルの踊り方がガラッと変わる姿が、この作品の見どころの一つです。
ウィリたちの一糸乱れぬ踊り
バレエ「ジゼル」の見どころの2つ目は、ウィリたちの一糸乱れぬ踊りです。
ロマンティック・バレエの象徴とも言えるロマンティック・チュチュの衣装を着たウィリたちの踊りがジゼルには登場します。
ロマンティック・チュチュとは
白い薄い生地がいくつも重なったつりがね型のスカートのこと。
特にウィリたちがアラベスクで交差していく様子は幻想的です。
ロマンティック・バレエでしか見られないウィリたちの踊りは必見です。
踊り狂わされるアルブレヒト・ヒラリオン
バレエ「ジゼル」の見どころの3つ目は、踊り狂わされるアルブレヒトとヒラリオンです。
同じ女性を愛した2人の男性が疲れ果てるまで踊らされす姿は「ジゼル」でしか見れません。
やはり力尽きるまで永遠に続くアルブレヒトのアントルシャ・シス(entrechat six)は第2幕の見逃せないポイントです。
また作中では嫌われ役のヒラリオンですが、その役をどのようにダンサーが演じるかも見どころの一つです。
バレエ「ジゼル」の動画
【動画】マリインスキー・バレエ団(1984年)
1984年に撮影されたマリインスキー・・バレエ団による「ジゼル」全幕です。
- ジゼル:イリーナ・コルパコーワ
- アルブレヒト:セルゲイ・ベレズノイ
- ヒラリオン:ゲンナジー・セリョーツキー
- ミルタ:タチアナ・テレホワ
最後のフィナーレの部分が切れています。
【DVD】ボリショイ・バレエ団「ジゼル」全幕(2011年)
ボリショイ・バレエ団によるユーリー・グリゴローヴィチ版の「ジゼル」全幕です。
- ジゼル:スヴェトラーナ・ルンキナ
- アルブレヒト:ドミトリー・グダーノフ
- ヒラリオン:ヴィタリー・ビクティミロフ
- ミルタ:マリヤ・アラシュ
【DVD】英国ロイヤル・バレエ団「ジゼル」全幕(2016年)
英国ロイヤル・バレエ団によるピーター・ライト版の「ジゼル」全幕です。
- ジゼル:マリアネラ・ヌニェス
- アルブレヒト:ワジム・ムンタギロフ
- ヒラリオン:ベネット・ガートサイド
- ミルタ:イツァール・メンディザバル
ピーター・ライト版では第1幕の最後、ジゼルは自ら命を絶つ設定になっています。
【CD】バレエ「ジゼル」全幕
まとめ
今回の記事では、バレエ「ジゼル」全幕のあらすじ・見どころ・登場人物について説明しました。
バレエ「ジゼル」のあらすじや登場人物がわかり、前より作品について詳しくなれたのではないでしょうか?
作品について詳しく知っていると、踊るときの表現の助けになります。
この記事が「ジゼル」の作品を練習するときの手助けになると嬉しいです。
↑バレエ作品について「もっと知りたい!」という方にはこちらの本がオススメです!
この記事を書いた人Wrote this article
かたーる 男性
『バレエの世界をもっと身近に!』をテーマに情報発信しています。【経歴】高校→バレエ留学→コロナ強制帰国→オーディション旅→海外バレエ団(4年目)。年間100公演以上あるバレエ団でソリストをしています。