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- 2024/10/25
バレエ「ドン・キホーテ」を観に行きます。どんなあらすじのお話ですか?登場人物や見どころを簡単に教えてください!
このような悩みを解決できる記事を用意しました。
この記事で解説しているバレエ「ドン・キホーテ」のあらすじや登場人物を読んでおけば、誰でもバレエ鑑賞がより一層楽しめます。
海外のバレエ団に所属している筆者が解説しますね!
記事の前半ではバレエ「ドン・キホーテ」の概要や登場人物、後半では見どころも解説するので、ぜひ最後までじっくり読んでくださいね!
バレエ「ドン・キホーテ」とは
バレエ「ドン・キホーテ」は作曲家レオン・ミンクスの音楽によって制作されたバレエ作品です。
スペインを舞台に恋の行方をコミカルに描いた人気のバレエ作品となっています。
- 原作:ミゲル・デ・セルバンテス著「ドン・キホーテ」
- 作曲:レオン・ミンクス(1826−1917年)
- 振付:マリウス・プティパ(1818−1910年)
- 構成:プロローグ付き4幕8場 ※初演時
- 初演:1869年12月26日(ボリショイ劇場)
- 上演時間:130分
あらすじを簡単に説明すると、「スペインの街に暮らすキトリとバジルの二人が結婚のために駆け落ちするお話」です。
コミカルな登場人物がたくさん登場します!
以下のような展開でストーリーが進んでいます。
- プロローグ:ドン・キホーテの書斎
- 第1幕:バルセロナの広場
- 第2幕1場:ジプシーの野営地
- 第2幕2場:ドン・キホーテの夢
- 第2幕3場:酒場
- 第3幕:結婚式
原作はミゲル・デ・セルバンテスの「ドン・キホーテ」
原作はスペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスが書いた小説「ドン・キホーテ」です。
小説「ドン・キホーテ」は長編小説ですが、バレエ「ドン・キホーテ」では作中の結婚の話をもとに制作されました。
後篇第19章から第22章の部分です!
小説の主人公はドン・キホーテですが、バレエでは街の若い男女(バジル&キトリ)を中心に物語が進んでいきますよ。
ロシアで活躍した作曲家レオン・ミンクス
音楽はオーストリア出身の作曲家レオン・ミンクスによって作曲されました。
ロシアで作曲家、指揮者、ヴァイオリニストとして活躍し、マリインスキー・バレエ団(当時はロシア帝室バレエ)のため、数多くのバレエ音楽を作曲しました。
- ドン・キホーテ
- ラ・バヤデール
- パキータ
フランスの振付家:マリウス・プティパの振付
ドン・キホーテの振付はフランスの振付家マリウス・プティパが行いました。
「クラシック・バレエの父」と呼ばれるほど、多くのバレエ作品の振付をした人物です。
のちにロシアの振付家アレクサンドル・ゴルスキーによって大幅に改訂され、現在上演されている「ドン・キホーテ」の多くがゴルスキー版をもとに作られています。
バレエ「ドン・キホーテ」の登場人物
「ドン・キホーテ」には、以下のような登場人物が出てきます。
主な登場人物
- キトリ:主人公。宿屋の看板娘
- バジル:床屋の息子。キトリの恋人
- ドン・キホーテ:”自称”騎士の旅人
- サンチョ・パンサ:ドン・キホーテの付き人
- ロレンツォ:宿屋の主人。キトリの父親
- ガマーシュ:キトリに求婚している貴族
- ドゥルシネア姫:ドン・キホーテの夢の中に登場する姫
ドルシネア姫はキトリと同じ人物が演じることが多いです!
その他の登場人物たち
その他には、次のような登場人物たちがいます。
- キトリの友人:花売り娘
- エスパーダ:闘牛士のリーダー
- メルセデス:街の踊り子
- トレアドール:闘牛士
- セギデリア
- ジプシー
- 森の女王
- キューピット
- 妖精(ドリアード)
- ポルカ
- 居酒屋の主人
- ファンダンゴ
- 儀式長
- 公爵、公爵夫人
配役ごとの出演か所まとめ
各配役ごとの出演か所を、以下の表にまとめました。
役名 | プロローグ | 第1幕 | 第2幕1場 | 第2幕2場 | 第2幕3場 | 第3幕 |
---|---|---|---|---|---|---|
キトリ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||
バジル | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||
ドン・キホーテ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
サンチョ・パンサ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
ロレンツォ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||
ガマーシュ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||
ドルシネア姫 | ◯ | ◯ | ◯ | |||
キトリの友人 | ◯ | ◯ | ◯ | |||
エスパーダ | ◯ | ◯ | ◯ | |||
メルセデス | ◯ | ◯ | ◯ | |||
トレアドール | ◯ | ◯ | ||||
セギデリア | ◯ | |||||
ジプシー | ◯ | |||||
森の女王 | ◯ | |||||
キューピット | ◯ | |||||
妖精(ドリアード) | ◯ | |||||
ポルカ | ◯ | |||||
居酒屋の主人 | ◯ | |||||
ファンダンゴ | ◯ | |||||
儀式長 | ◯ | |||||
公爵、公爵夫人 | ◯ |
バレエ「ドン・キホーテ」のあらすじ
バレエ「ドン・キホーテ」のあらすじを場面ごとに解説していきます。
- プロローグ:ドン・キホーテの書斎
- 第1幕:バルセロナの広場
- 第2幕1場:ジプシーの野営地
- 第2幕2場:ドン・キホーテの夢
- 第2幕3場:酒場
- 第3幕:結婚式
プロローグ:ドン・キホーテの書斎
とある村に住む郷士アロンソ・キハーノは中世の騎士道物語に夢中になっていた。
郷士(ごうし)と読みます!
夢中になるあまり現実と物語の世界の区別がつかなくなります。
自分が物語の主人公ドン・キホーテであると思い込み、服装から立ちふるまいまで中世の騎士のようでした。
ドン・キホーテは空想の人物ドルシネア姫を見つけるため、付き人のサンチョ・パンサとともに旅に出発します。
第1幕:バルセロナの広場
舞台はバルセロナの街の広場。人々が行き交い活気に溢れていました。
そんな街では宿屋の看板娘キトリと床屋の息子バジルが暮らしています。
二人は恋人同士でいつも一緒にいました。
しかしキトリの父親ロレンツォは、キトリをお金持ちの貴族ガマーシュと結婚させようと考えています。
キトリはガマーシュに見向きもせず、父親の目を盗んではバジルとの愛を深めるのであった。
街ではエスパーダ率いるトレアドール(闘牛士)たちが登場し、さらに活気に溢れています。
そこにドン・キホーテとサンチョ・パンサがやってきます。
時代遅れの格好をしたドン・キホーテに、街の人々は驚きました。
ドン・キホーテはキトリを見るなり、ドルシネア姫だと思いこみます。
サンチョ・パンサが盗み食いをした騒ぎにまぎれて、キトリとバジルは街から逃げ出します。
キトリがいないことに気づいたドン・キホーテたちも慌てて2人のあとを追いかけるのでした。
第2幕1場:ジプシーの野営地
街をあとにしたキトリとバジルはジプシーたちの野営地までやってきました。
最初はジプシーたちに怪しまれますが、駆け落ちしたことを伝えると二人を歓迎して踊りを披露してくれました。
そこへドン・キホーテがサンチョ・パンサを連れてやってきます。
ジプシーによる人形芝居を観たドン・キホーテは、劇中に登場した悪役を倒そうと飛びかかります。
落ち着いたのもつかの間、今度は風車を悪役だと思いこみ槍を持ち突進していまいます。
風車に舞い上げられたドン・キホーテは気絶してしまうのでした。
第2幕2場:ドン・キホーテの夢
意識を失ったドン・キホーテは夢を見ます。
夢の中でドン・キホーテは森の中におり、探し求めていたドルシネア姫やキューピット、森の女王らに出会います。
探し求めていたドルシネア姫が美しい踊りを披露しました。
ドン・キホーテが目を覚ますと、ロレンツォとガマーシュがやってきました。
彼らとともにキトリとバジルのあとを追うのでした。
第2幕3場:酒場
酒場ではキトリの友人、エスパーダ、メルセデスたちが踊りながら楽しんでいました。
そこへキトリとバジルが逃げ込んできます。
あとを追いかけてきたロレンツォたちに見つかり、再びキトリはガマーシュとの結婚を強要されます。
バジルは狂言自殺でガマーシュたちをだまして、キトリとの結婚が取り付けるのでした。
虚言自殺(きょうげんじざつ)
死ぬつもりがないのに、自殺のふりをして人をだますこと。
第3幕:結婚式
キトリとバジルの結婚式が盛大に行われます。
キトリとバジルのパ・ド・ドゥはこの場面で踊られます。
キトリの友人やエスパーダ、メルセデスたちも二人の結婚式をお祝いしています。
ドン・キホーテはサンチョ・パンサとともに新たな冒険へ旅立つのでした。
バレエ「ドン・キホーテ」の見どころ3つ
バレエ「ドン・キホーテ」の見どころを3つ紹介します。
- 見どころ①:陽気でコミカルな登場人物たち
- 見どころ②:初心者でも楽しめるバレエ作品
- 見どころ③:ダンサーが魅せる!超絶技巧の数々
陽気でコミカルな登場人物たち
バレエ「ドン・キホーテ」には陽気でコミカルな登場人物や笑える場面が登場してきます。
バジルの狂言自殺の場面はクスっと笑えますよ!
スペインの明るく陽気な登場人物たちを見ていると、自分も楽しくなってきます。
初心者でも楽しめるバレエ作品
バレエ「ドン・キホーテ」は、バレエ初心者でも楽しめる作品です。
白鳥の湖や眠れる森の美女は貴族を中心としたお話ですが、ドン・キホーテの中心は街の住人だからです。
ストーリー展開が早いので、バレエ初心者でも退屈にならずに最後まで楽しめる作品となっています。
ダンサーが魅せる!超絶技巧の数々
第3幕の結婚式の場面では、キトリとバジルの超絶技巧が楽しめます。
32回の連続回転(グラン・フェッテ)や複雑なジャンプ技などが数々と繰り広げられていきます。
ガラ・コンサートでも人気の演目です!
クライマックスで踊られる二人の踊り(パ・ド・ドゥ)は、会場の雰囲気を一気に盛り上げてくれますよ!
バレエ「ドン・キホーテ」の動画・DVD
バレエ「ドン・キホーテ」の予習になる動画やDVDをまとめて紹介します。
動画:ウクライナ国立バレエ「ドン・キホーテ」(2022年)
2022年に上演されたウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ)の公演映像です。
- キトリ/ドルシネア姫:オリガ・ゴリッツァ
- バジル:ニキータ・スハルコフ
- ドン・キホーテ:ミコラ・ミヘーエフ
- サンチョ・パンサ:ニキータ・カイゴロドフ
来日公演の際に収録された映像です!
DVD:英国ロイヤル・バレエ「ドン・キホーテ」(2013年)
英国ロイヤル・バレエによる「ドン・キホーテ」です。
- キトリ:マリアネラ・ヌニェス
- バジル:カルロス・アコスタ
- ドン・キホーテ:クリストファー・サンダース
- サンチョ・パンサ:フィリップ・モスレイ
エスパーダ役を日本人ダンサーの平野亮一が演じています。
DVD:新国立劇場バレエ団「ドン・キホーテ」(2009年)
新国立劇場バレエ団が2009年に上演した「ドン・キホーテ」の映像です。
- キトリ:スヴェトラーナ・ザハロワ
- バジル:アンドレイ・ウヴァーロフ
世界的ダンサーのスヴェトラーナ・ザハロワとアンドレイ・ウヴァーロフが主役が踊っています。
作品を解説したガイドブックも付いていますよ!
まとめ
バレエ「ドン・キホーテ」のあらすじ・登場人物・見どころについて解説しました。
スペインの街に暮らすキトリとバジルの二人が結婚のために駆け落ちするお話
スペインの街を舞台に繰り広げる「ドン・キホーテ」は、バレエ鑑賞が初めてでも楽しめるバレエ作品です。
あらすじや登場人物について知っておけば、バレエ鑑賞がより一層楽しめますよ!
バレエ作品について「もっと知りたい!」という方にはこちらの本がオススメです。
この記事を書いた人Wrote this article
かたーる 男性
『バレエの世界をもっと身近に!』をテーマに情報発信しています。【経歴】高校→バレエ留学→コロナ強制帰国→オーディション旅→海外バレエ団(4年目)。年間100公演以上あるバレエ団でソリストをしています。